
Issue #75
Winter 2024 - 2025
シルクスクリーンによる一点モノの表現とDIY精神。
中里凌也インタビュー。
Interview: Toshihito Hiroshima
Photo: Hidden Champion
大型のシルクスクリーンやライトボックスを自作するなど、独自のビジュアル表現をハンドメイドで追求している中里凌也。アートワークとしての一点モノと、クライアントワークによる大量生産を、自身の創作欲のバランスをとるかのように行き来しながら活動を行っている彼に、ここに至る経緯や影響、気になる今後の展望を聞いた。
―ではまず始めに自己紹介をお願いします。
高校生だった2014年頃から〈IMPUDENT LIFE(インピューデントライフ)〉というブランドをやっています。シルクスクリーンを使い始めたのと同じタイミングでブランドを始めたので、その技法を使って遊んでいる感覚でブランドのデザインやモノづくりをしています。
―シルクスクリーンを始めたきっかけを教えてください。
僕は裏原カルチャーから洋服が好きになったのですが、高校1年生の時に〈WTAPS〉の西山徹さんの『MY LIFE IS THIS LIFE』という本を読んだことがシルクを使うようになった1番のきっかけです。友達たちと「裏原って知っているけど深く知らないよね」って話になり、ある友達がその本を持ってきてくれてみんなで見たんです。その本はいくつかのセクションに分かれているのですが、その中の一つにシルクスクリーンのセクションがありました。それを見てシルクスクリーンを使えば洋服を自分で作れることがわかり、すぐにやってみたら面白かったんです。そしてブランドも始めました。
―高校卒業後はモノ作りについて専門的な分野で学びましたか?
文化学園大学に通ってファッションについて様々なことを全般的に学びましたね。でも授業以外の方が濃かったです。学校のみんなと会って話して、飲みに行ってクラブ行って。そのまま朝になるとみんなでまた学校に行くみたいな、そんな生活を週4くらいでしていましたね。その経験によって今があると思っています。色々な友達と出会いましたし、それが今の仕事につながっていると思います。
―中里さんにとって、シルクスクリーンの魅力とは何ですか?
プリントの質感が好きなんです。シルクスクリーンはもともと和服を作るときの捺染技術がルーツにあるそうです。元々は本物のシルクでやっていたからシルクスクリーンという名前で、一点物を作るための方法でした。本来は大量生産用ではなかったんですよ。そこからイギリスで特許が取られて、大量生産用に使い始めるようになりました。だからシルクスクリーンが好きな理由を考えると、単純に日本人だから日本にルーツがあるものをやりたいという思いがあるんだと感じますね。
―大型のシルクスクリーンの版や、露光するライトボックスも自作していますよね?
DIYで道具を作るのは、人が面倒くさいと思うものにこそ穴があると感じているからです。大型の版やライトボックスを作るのはかなり手間が掛かるからみんなやらないじゃないですか。そこが面白いと感じるんです。元々は友達のアーティストの作品のために作ったのがきっかけですが、その時にこれなら自分で作れると思ったんです。