Timberland present ICON Art Wall
featuring ZECS
HIP HOPの記憶を纏ったイエローブーツ
ZECSによるウォールアートが出現

ティンバーランドの定番アイコンである通称“イエローブーツ”は、90年代以降のHIP HOPカルチャーの象徴的アイテムとしてストリートに深く根付いてきた。
そのアイコンを出発点に、グラフィティ・アーティストZECSが「ティンバーランド ブティック トウキョウ」を舞台に大規模なアートコラボレーションを実施する。
店舗外壁にスプレーで描かれた壁画、店内を彩るキャンバス作品、そして限定コラボアイテムに至るまで、キャラクター「YUMYUM」とイエローブーツが交錯し、ブランドとカルチャーを横断するコラボレーションが実現。
本記事では、制作の背景やティンバーランドへの思い、そして彼自身のルーツについて話を聞いた。
- Interview_
- Hidenori Matsuoka
- All Artworks_
- ©︎ZECS

“HIP HOPファッションのマスターピース” ── ZECS
──ティンバーランドとのコラボレーションですが、ブランドに対してどのような印象を持っていますか?
正統派なアウトドアブランドでありながら、90年代から現代に至るまでHIP HOPファッションのマスターピースとして欠かせない存在だと思います。
──今回Tシャツ用に描いた作品について、こだわったところなどがあれば教えてください。
3種類描いたんですが、すべてに共通して「イエローブーツ」をテーマにしました。自分が見てきた90年代中期のHIP HOPの影響を強く反映しています。まあ、普段の作品もそういうモチーフが多いんですけどね(笑)。Tシャツは“着るもの”なので、ブーツという履き物をモチーフにしながらも、違和感なくティンバーランドのグラフィックTシャツとして成立するように意識しました。「KEEP IT RIGHT」という言葉は、DE LA SOULの96年のアルバム『STAKES IS HIGH』のTシャツのバックプリントに描かれていた言葉を引用したもので、自分にとっても強く共感できる言葉です。


──「ティンバーランド ブティック トウキョウ」の外壁に描いた壁画については?
建物の立体的な形状を活かしたくて、階段部分にキャラクターが腰掛けてるように見える構図にしました。ヘッドフォンで音楽を聴いてリラックスしているキャラクターのまわりに、シューレースで囲ったティンバーランドの文字を浮かべています。そして2階のウインドウからイエローブーツを持った女の子が外を眺めています。

──店内展示のキャンバス作品は?
イエローブーツをどうキャラクターたちに合わせてデフォルメするか。そこを引き算しながら構成したのが今回のポイントです。
──グラフィティを始めたきっかけは?
子供の頃から図工や美術しか得意科目がなくて、絵を描くのはずっと好きでした。中学でHIP HOPを聴き始めて、CDジャケットや雑誌でグラフィティを見て「なんだこれ?」と衝撃を受けたのが入口です。最初は近所のトンネルに適当にスプレーして追いかけられたり(笑)、ただの落書きでしたね。高校時代に知り合った仲間からブラックブックを見せてもらったり、街でCazulさんのミューラルやイラストレーターの若野桂さんの作品を見たりして「自分も描きたい」と強く思うようになりました。その後20歳のときにライターと出会い、現場で描く姿を間近で見て、「ああ、こうやって描くんだ」と缶を握ったのが本格的なスタートです。
──音楽や影響を受けたアーティストについて教えてください。
Ahmad Jamal、Les McCann、Roy Ayers、Lonnie Liston Smith、Nas、Raekwon、Westside Gunn、The Alchemist、J-Dilla、Pharrell Williams、Theo Parrishなどが特に好きですね。
“ティンバーランドといえば、やっぱり東海岸のHIP HOPアーティストを思い浮かべますね”── ZECS
──「ティンバーランドといえば」連想するアーティストはいますか?
GANG STARRの『Hard to Earn』の裏ジャケや、DAS EFXの『HOLD IT DOWN』の裏ジャケ、Capone-N-Noreaga『The War Report』、MOBB DEEP『The Infamous』あたりが脳裏に強く残っています。あと、BiggieやDIPSETなど、やっぱり東海岸のHIP HOPアーティストを思い浮かべますね。

ZECSが直接描いた一点もののイエローブーツも展示されている(非売品)。
──「YUMYUM」というキャラクターについて改めて教えてください。
シンプルでオリジナリティのあるキャラクターを作りたいという思いから生まれました。目・鼻・口は同じパーツで構成されていて、最初はフードをかぶった男の子がベース。そこから女の子版やHIP HOPアーティストを自分のテイストに落とし込んだり、友達のアパレルや飲食店に合わせたバリエーションを描いています。意識はしてないですが、ノリは『シンプソンズ』に近いかもしれません。
──今後の予定などがあれば教えてください。
2025年11月1日から、高円寺のCHOICEという場所で、切り絵アーティストwackwack氏と二人展を開催します。HEAD LOCK STUDIOと制作した新しいソフビの展示や販売も予定しているので、楽しみにしていてください。


ZECS刻印入り 35,200円(税込)
今回のコラボレーションは、グラフィティ・アーティスト ZECS が描きおろしたグラフィックを刻印した「6インチ プレミアム ウォータープルーフ ブーツ(通称イエローブーツ)」を、30足限定で発売するという超レアな企画。
さらに、同じく描きおろしたグラフィックを用いた Tシャツ3型(各50着限定) もリリースされ、いずれも「ティンバーランド ブティック トウキョウ」のみでの限定販売となる。
店舗では、ZECSがティンバーランドをイメージして制作したキャンバス作品の展示販売に加え、直接ペイントを施した一点もののイエローブーツ(非売品)なども展示。外壁を覆うスプレーアートとあわせて、HIP HOPカルチャーとティンバーランドが結びつく特別な空間を体感してほしい。
会期は9月20日(土)から10月5日(日)まで。お見逃しなく。

【イベント情報】
Timberland present ICON Art Wall Featuring ZECS
- 会期 :
- 2025年9月20日(土)〜 2025年10月5日(日)
- 時間 :
- 11:00 – 20:00
- 会場 :
- Timberland Boutique Tokyo
- 住所 :
- 東京都渋谷区猿楽町25-9 代官山スペースⅡ
- Instagram :
- @timberland_boutique_tokyo

【プロフィール】
ZECS
2000年代初頭からグラフィティライターとして活動を始めたZECSは、自身のレターを追求する傍ら、ウブでヤンチャな見た目の「YUMYUM」と名付けたキャラクターを路上からキャンバス、グラフィックから立体物まで自由に投影させている。作品に登場するモチーフは、自身のルーツであるHIP HOPカルチャーの要素や、車、おもちゃなどを、コミカルなスタイルにデフォルメさせることで、唯一無二の世界観を生み出している。また、多くのブランドやメディアへのアートワークの提供やギャラリーでの個展の開催など多岐にわたる活動を行っている。