
Issue #75
Winter 2024 - 2025
日頃のスケッチを通して生まれる個性的なキャラクター。
櫻井万里明インタビュー。
Inteview: Toshihito Hiroshima
Photo: Hidden Champion
「みんなが見落としてしまいそうなものも、上手く表現すればちゃんと届く」。
そういう想いで日常的に行っているスケッチを通して、自らの感覚と向き合いながら作品に反映させている櫻井万里明。そんな彼女の描く絵には、ルーツが判別できないキャラクターが多く描かれているのだが、その世界には争いがなく、自由な空気が内在しているかのようだ。
個展やアパレルブランドなどのコラボレーションを通じて精力的に活動する彼女に、バックグラウンドや作品について話を伺った。
―まず初めにバックグラウンドを教えていただきたいです。
福井県出身で1996年生まれです。高校1年生のときから滋賀県や大阪など関西に住んでいました。その後大学に入学するタイミングで東京に来ました。
―子供の頃に興味があったことを教えてください。
子供の頃から絵を描いていましたが、絵だけに興味があったわけではなく、運動をすることや映画を観ることも好きでした。私は3つ子で同い年の兄弟が2人いるのですが、お母さんの仕事が遅かったので、3人で本を読んだり映画を観たりすることが多かったんです。3人とも映画の趣味が一緒で、親が仕事から帰って来るまで近くのレンタルビデオ屋さんでビデオのジャケットの裏面を見て、これはどういう話なのか3人で想像しながら話していた記憶があります。それでジャケットを丸ごと模写したりもしていましたね。当時はジム・キャリーがすごく好きだったので顔を描いたりして遊んでいました。あとは近所の習字教室に通い習字に熱中してみたり、様々なことに興味を持っていましたね。
―高校生の時はどのような学生でしたか?
高校は進学校に合格して入学したのですが、色々な事情が重なり一週間くらいで中退してしまったんです。その進学校はみんな競争心が高くて、自分には合わないと思いました。その後に違う高校に転校をしたのですが、そこはヤンキーが多い学校でした。でもヤンキーのほうが「あの高校のあいつがぶつかってきた」とかそういう理由で喧嘩をしたりしていたけど、そっちの方がシンプルだし、清いと思いましたね(笑)。その頃はそれがわかりやすくて楽しかったですね。高校生の時は1人でいる時間が多くあったので、徐々に紙とペンがあれば描ける絵に興味を持ってたくさん描くようになりました。