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Manhattan Portage
ART AWARD 2023

Manhattan Portageによるデザイン公募企画
“アート・アワード”第10弾の受賞者が決定!!

Edit: Hidden Champion

Manhattan Portageが主催するデザイン・コンペティション「ART AWARD 2023」のファイナリストとグランプリが先日発表された。「LOVE」をテーマに、全国のクリエイターから集まった応募数は200以上に達したという。

第10回目を迎えたこの「ART AWARD」、昨年まではManhattan Portage社内での投票や審査によってグランプリが選出されていたのだが、今回は第1回目ぶりに、さらなる広がりを持つために特別審査員制度が設けられ、イラストレーターの大御所である永井博さん、コンテスト情報サイト「登竜門」編集長の猪瀬香織さん、代官山蔦屋書店のアートコンシェルジュ長澤研太さん、Manhattan Portageの代表の渡利欣司さん、そして小誌編集長の松岡の5名が特別審査員として参加した。

Manhattan Portage社内での一次審査を終えた15作品を特別審査員が事前に確認し、その約一週間後にManhattan Portageのオフィスにて審査会が開かれた。初顔合わせの挨拶も早々と済ませるとすぐさま本題へと話は進んだ。最終選考へとコマを進めた作品を改めて真剣に眺めながら、審査員は各々のコメントを披露した。


「LOVEというテーマ表現がなかなか難しく、どこを取って評価するのか考えながら選考しました。」 
―長澤 研太(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 代官山 蔦屋書店 アート コンシェルジュ)

「テーマとManhattan Portageだからこそ、ということを重視して選考しました。アーティストの中には自身の既にある作品を使いまわしして応募する方もいるので、どれだけこのアワードと向き合っているかということを重視しました。」
―猪瀬 香織(株式会社JDN コンテスト情報サイト「登竜門」編集長)

「最初からバッグに入れる事を考えすぎているので、全体的に可愛いものになりすぎている。絵描くやつはもっと自由にやればいい。もっと枠をはみ出した方がいいのでは。」
―永井 博(イラストレーター・グラフィックデザイナー)

「バッグにしたときにおさまりが良いのでは、というManhattan Portageの視点が入っているのは間違いない。ただこのコンペの企画やテーマはこうだよ! と言っているのに、“全然関係ねえ!”で、いい作品がきたらそれはそれで採用したいと思っている。」
―渡利 欣司(株式会社コード Manhattan Portage 代表)



など、さまざまな意見が次々と出て、グランプリの決定までには短かくない時間を要した。

ここでは、その審査会を経て勝ち抜いたファイナリスト6名と、さらにその中からグランプリに選ばれた菊地伊織さんの作品をインタビューと共に紹介したい。グランプリとなったこの作品は2023年の秋冬シーズンに「Canvas Art Print Collection」として発売されるということなので、そちらも楽しみに待っていていただきたい。

グランプリ受賞作品 作者 菊地伊織さんコメント

Manhattan Portageの生誕の地であるNY・マンハッタンを生きる人々で、ART AWARD 2023のテーマ 「LOVE」 を表現しました。俯瞰してみると、マンハッタンの地図のシルエットのように細長いイラストになっています。「LOVE」というコンセプトを表現する上で、ブランドのロゴカラーが赤なことと、赤は愛や情熱を表現するのに印象的でもあることから、赤を差し色にしたデザインにしたいと思いました。そこで、あえてグレーやモノクロな色合いの中に赤を象徴して構成し、日々生きる世界は、グレーなことばかりだけど、Manhattan Portageと共に生きる人々は、LOVEに溢れていて、小さな日常の中でも生きているだけで輝いているんだ!という想いを込め作りました。

特別審査員コメント

「NYの混沌とした感じが面白く表現されている。なんか塊のようにまとめたところもいいと思ったよ。」―永井 博

「LOVEというテーマを作者独自の視点で解釈し、細部にまで落とし込み、非常に凝った作品に仕上がっています。やはりこのAWARDは“Manhattan Portageが主催するバッグをキャンバスにしたART AWARD”なので、バッグとしてのデザインの完成度が高いことも重要な評価のポイントでした。」―渡利 欣司

「NYの風景、Manhattan Portageを持って生活する人々、LOVE、アート、自転車…と多くの要素をまとめあげたイラストに、ブランドへの愛を感じました。要素が多くても構図と色数が工夫されているので、バッグ上で違和感がないです。」―猪瀬 香織

「Manhattan Portageの生誕の地であるNYの楽しさや多種多様なライフスタイルをうまく描いた作品だと思いました。また、Manhattan Portageが関わってきたカルチャーの要素もイラストに落とし込めていると思います。」―長澤 研太

「コンセプトがしっかりしていることと、日常を感じられるモチーフの選び方やそれらを組み合わせた構図がとても良いです。カラーリングの統一感も上手だと思いました。」―松岡 秀典(HIDDEN CHAMPION 編集長)




菊地伊織インタビュー

―まず、出身や経歴を教えてください。

生まれは東京で育ちは茅ヶ崎です。横浜の高校に通っていたのですが、そこが結構国際的な所で、フランス語も英語も学べて留学も何回かしました。クロード・モネが大好きで、画家になるには憧れのモネが出ている大学に行けば画家になれるっていう勝手な目標があったんです。そしてフランスに行ってその学校を受けられるのか聞いたのですが「受けられない」って言われてしまい。フランス語が話せてもフランス国籍じゃないならちょっとめんどくさいみたいなことを言われていきなり夢が挫折してしまったんです。

―なぜそれほどモネが好きだったのですか?

小学生の頃にニンテンドーDSが流行っていて「絵心教室」というアプリをやっていたんです。それは絵も描けるし美術史も学べるようなアプリで、そのなかにモネの絵が出てきて、ニンテンドーDSの画素数の荒い画面で見たのに、小学生ながらにすごい大好きになっちゃったんです。どこが好きなのかその理由も分からなかったんですが、絵でこういう感情にさせられる人がいるなら私もなりたいと思いました。モネみたいな絵を描きたいというわけではなく「画家になりたい」って思ったんです。

―それほど衝撃的だったのですね。

小学生ながらすごくウキウキした記憶があります。そこからちゃんとモネのことを調べると、あの時代にしては、ゴッホみたいに耳を切っちゃったり病んじゃったりとかじゃなくて、結婚して子供も出来てという人生を送っていて、絵だけでこんな素敵な生活を送れるんだなって、画家という職業が身近に感じたんです。

―フランスを諦めてからはどういう選択をしたのですか?

日本の美大は、入る前に予備校に通って6時間で描いた絵とかで評価されるという厳しい世界じゃないですか。それよりも可能性を感じてもらいたいと思い、ニューヨーク州立大学のアートに強いマンハッタン寄りのパーチェス校に行きました。ただ、アーティストになるためのことを色々と学べるんですけど学生ビザだとどうしても稼いじゃだめなので、依頼があっても受けられないし、もしやったとしてもキャリアとして書けないので居る意味がないなと思って一年で日本のテンプル大学に戻りました。そして在学中にデザイン会社などでインターンをしていたのですが、行く先々で卒業したら就職せずにフリーでトライしてみればって言ってくれる人が多くて、「じゃあとりあえずやってみるか!」みたいな感じで始まって今3年目です。

菊地伊織さんが手がけたART AWARD 2023 グランプリ受賞作品

―では、Manhattan PortageのART AWARDでの今回の受賞作について教えてください。アイデアはすぐに浮かびましたか?

テーマが「LOVE」だったので、まずニューヨークにある有名な「LOVE」のパブリックアートが思いつきました。そして家に友達がくれたニューヨークの地図の木の模型みたいなのがあったので、マンハッタンを上から見たシルエットを使ったら面白いなと思い、その中で人々がジョギングしたり自転車に乗ったりして生きている日常をテーマパークのように描いてみました。そしてManhattan Portageの40周年をお祝いするために、絵筆を持っている人から伸びる線が「4」のようになっていて、LOVEの「O」と掛けて「40」にも見えるようにしてみたり。あとは親とか友達に「どういうバッグ欲しい?」みたいなことを聞いてみたりもしましたね。

―コンセプトが明確だし説明できるのも素晴らしいなと思います。

やっぱりそれは大学で学んだことが大きいですね。アメリカの大学だと教授と生徒の前でみんなで見せるクリティークという時間があるんですけど、それが1番辛かったです。英語で説明するのも辛いし、うまく意見を言えないのも辛い。コンセプトとかそういうものはちゃんと言葉にしないといけない。ボーっと生きててはダメなんだなって学びましたね。

―こういう公募にはよく応募しているのですか?

年に数回は応募しますね。「登竜門」を見たり、「コンペ アート」を日本語、英語、フランス語で検索したりしています。実は以前にもこのART AWARDは応募したことがあるんです。ただ、昨年はテーマが「PEACE」だったんですが、その時はアイデアが思いつかなかったので応募しませんでした。ひらめき次第ですね。

―いままでの実績を見るとイラストだけでなく壁画もやったりと多方面で活躍されている感じがしますが、今後やりたいことや、どういう風に向かっていきたいみたいなのはありますか?

この人の作品と言えば「これ!」みたいな画風がいつか欲しいですね。例えば村上隆さんだったらフラワーとか、草間彌生さんだったらドットみたいな。そういう人たちも最初からそういうのは無かったと思うんです。いまは仕事をいただいて、与えられたテーマによって描いているのでクライアントさんがいるからできているところもあります。そういう意味では自分で描いた作品だけど、完全に自分の作品ではないと思うんです。アメリカの大学の教授に「あなたは色だけで世界を見なさい」みたいなこと言われたことがあったので結構カラフルな作品が多いのですが、そういう自分の良さを伸ばしていきたいです。



菊地伊織さんが手がけた過去の作品
ART EVENT held in KITTE MARUNOUCHI, 2022
(写真上)Fence Art for PROUD IBARAKI FUTABACHO, H3m x W 50m, 2022
(写真下)SHUTSUGEN GARO @ PARCO NAGOYA, 2022
(写真上)CHOCOLA MEETS 2022
(写真下)Wall Art for movie YUDO, H2m x W10m, 2022
The Chikura Umi Base Camp, H3m x W5m, 2023


Finalist

こちらが200以上もの応募作品のなかからファイナリストに残った作品たちだ。惜しくもグランプリには選ばれなかったものの、どれも「LOVE」というテーマのもとに個性豊かな作品が揃っている。

作者
NAO YOSHIDA

特別審査員コメント
「“アートを車輪で描く”という、BMXライダーである作者ならではの表現方法が評価の大きなポイントとなりました。加えて、Manhattan Portageのブランドコンセプトである“NEW YORK TOUGH”を感じさせる力強さや、ブランド本来の持ち味である無骨な荒々しさが表現されており、ブランドへの深い理解も加点へ繋がりました。」―渡利 欣司
作者
LeNAa SATO

特別審査員コメント
「テーマであるLOVEの解釈や黒い人など、目に止まって気になった作品です。またイラストの落ち着いた配色が良いなと思いました。」―長澤 研太
作者
SHIO

特別審査員コメント
「ブランド発祥地であるNY・マンハッタンの街で見られるだろう、さまざまなLOVEのかたちがポップなイラストで表現されていて素晴らしいです。ロゴもイラストのひとコマとなるようなコマ割りや、ロゴ・製品に合わせて抑えたカラーリング、フラップ裏のメッセージと、各所にデザインの工夫を感じました。」―猪瀬 香織
作者
つちやみさ

特別審査員コメント
「人だけではなく、種族や住む世界の違う生き物たちがハグし合うというLOVEという今回のテーマ対しての強いメッセージを感じました。イラストレーションも、ひとつのデザインとしてバランスよく配置されていて、バッグとしてのデザイン性も良いと思いました。また、Manhattan Portageの生誕の地であるNYを意識した配色、デザインも、今回の応募作の中で優れていたと思います。個人的には、生き物たちのフォルムや目が、可愛らし過ぎず好きでした。」―長澤 研太
作者
田中紅緒

特別審査員コメント
「マンハッタンポーテージの公募としてブランドのことをとても考えていると思いました。バッグと共に生活する楽しさが伝わってきます。」―松岡 秀典

※バッグの写真は合成によるイメージとなります。

<Information>
Manhattan Portage Showroom
Tel. 03-3746-0528
www.manhattanportage.co.jp
@mp_japan

Iori Kikuchiのプロフィール

菊地伊織。1998年東京都生まれ。湘南育ち。英語とフランス語を話す日本人アーティスト。2017年にニューヨーク州立大学パーチェス校に進学後、2020年タイラー・スクール・オブ・アーツ・テンプル大学ジャパンを卒業。2019年「TURNER AWARD 2018」で大賞を受賞。絵画作品、壁画、イラストやデザインまで、幅広い表現方法で作品を日々制作している。過去の仕事に、竹内アンナやXIIXのツアーグッズデザインを担当。雑誌GINGER、VERYなどの挿絵を担当。KITTE MARUNOUCHI、富士通、okamuraなど商業施設での壁画や企業のオフィスアートを制作。New Balance、PRADAやRALPH LAURENなどハイブランドのポップアップイベントでライブペイントを実施。 @kikuchiori

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